タイトル

ハンナ・アーレント/HANNAH ARENDT

哲学者ハンナ・アーレントはかつてドイツに生まれ育ち、今でも仲間との会話はドイツ語で行うほどであるが、ナチスの政権獲得とともにフランスに亡命、親独のヴィシー政権によって抑留され、間一髪で脱走、米国に亡命した過去を持っていた。現在はニューヨークで大学教授として、最愛の夫ハインリッヒ、友人で作家のメアリー・マッカーシーらと穏やかな日を送っていた。1960年ブエノスアイレスで亡命生活を送っていたナチ高官のアイヒマンがモサドによって誘拐され、エルサレムで裁判を受けることとなり、ハンナは「ニューヨーカー」誌の特派員として、裁判を傍聴することを志願する。自らの過去と向き合う苦痛を耐えてまで傍聴した裁判であったが、被告アイヒマンの大量殺人を指揮したとは思えぬ凡庸さに当惑する。一方で裁判での証言から、当時のユダヤ人社会の指導者たちが、消極的にではあるがナチの政策に協力していたことまで明らかになってゆく。帰国したハンナは、膨大な裁判資料と向き合いながら、鬼畜のようなナチ高官と思われていたアイヒマンは、自らの役職を忠実に果たすことを自らに課していたに過ぎない小役人であること、一方でユダヤ人社会でも抵抗をあきらめたことで被害を拡大したこと、アイヒマンの行為は非難されるべきだが、そもそもアイヒマンを裁く刑法的な根拠は存在しないこと等をニューヨーカーの連載記事として掲載する。記事はユダヤ人社会の感情的な反発を招き、論文を読んだことすらないものまで「ナチスを擁護するものだ」と激烈な批判を寄せ、ハンナは大学から辞職勧告まで受ける。誤解を解き、自説を明らかにするため、ハンナは特別講義を行う。「アイヒマンは、ただ命令に従っただけだと弁明した。彼は、考えることをせず、ただ忠実に命令を実行した。そこには動機も善悪もない。思考をやめたとき、人間はいとも簡単に残虐な行為を行う。思考をやめたものは人間であることを拒絶したものだ。私が望むのは考えることで人間が強くなることだ」講義は学生たちの熱狂的な支持を得るが、一方で、古い友人たちは、それでも彼女に背を向け、教室を後にするのだった。
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
出演:バルバラ・スコヴァ、アクセル・ミルベルク、ジャネット・マクティア、ユリア・イェンチ、ウルリッヒ・ノエテン、ミヒャエル・デーゲン
制作年:2012年
制作国:ドイツ / ルクセンブルク / フランス
原題:HANNAH ARENDT
脚本:マルガレーテ・フォン・トロッタ
時間:114分

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